オフィスの移転が決まった際、実務担当者や経営者を悩ませるのが「本店移転登記」の手続きです。引越しの準備や通常業務で忙しい中、「専門的な書類をミスなく揃えられるだろうか」「スケジュール通りに終わるか不安」と感じる方も多いのではないでしょうか。
本店移転登記の必要書類は、移転先の住所や会社の仕組み(機関設計)によって大きく変わります。
本記事では、自社のケースで必要になる書類一覧や、手続きにかかる費用・期限の全体像を分かりやすく整理しました。「自力で申請できそうか」「司法書士などの専門家に依頼すべきか」を判断する材料として、ぜひお役立てください。
【この記事で分かること】
本店移転登記の必要書類は全社共通ではありません。移転先の「場所」と自社の「仕組み(機関設計)」によって変わります。書類を集め始める前に、まずは自社がどのパターンに該当するかを特定しましょう。
手続きの最大の分岐点は、移転先が現在の法務局の管轄エリア内かどうかです。管轄が変わるかどうかで、必要書類の量と費用が大きく変動します。
まずは移転先住所の担当法務局をネットで検索し、どちらに該当するか確認してください。
参考:管轄のご案内|法務局
【よくある勘違い】
移転先の管轄を調べる際、「不動産登記」と「商業登記(法人登記)」で管轄の法務局が異なるケースがよくあります。不動産の手続きをした法務局に会社の書類を出そうとして間違えてしまうトラブルがあるため、必ず「商業・法人登記」の管轄窓口を確認しましょう。
会社の仕組み(機関設計)によって、社内決議で作成する議事録の種類が変わります。定款や登記事項証明書を確認し、自社がどちらの体制か把握してください。
| 会社のパターン | 本店移転を決定する機関 | 必要となる主な書類 |
|---|---|---|
| 取締役会がある会社 | 取締役会の決議 | 取締役会議事録 |
| 取締役会がない会社 | 取締役の過半数の合意 | 取締役の決定書(または互選書) |
【司法書士からのアドバイス】
取締役会がない会社でも、定款に「本店を東京都千代田区〇丁目〇番〇号に置く」と番地まで細かく書かれている場合は、定款変更(株主総会議事録)が必要になります。
同一の法務局管轄内で本店移転を行う場合の必要書類を、機関設計のパターン別に解説します。管轄内移転は手続きが比較的シンプルですが、社内決議の形に合わせて正確に書類を揃える必要があります。
取締役会がある会社は、原則として以下の書類を用意します。
※同じ区内・市内での移転(例:港区から港区)で、定款を変更する必要がない場合は「登記申請書」と「取締役会議事録」の2点だけで完了します。
【司法書士のアドバイス】
「議事録の作成」や「ハンコ集め」を負担に感じるかもしれませんが、以下のポイントを押さえれば手間は大きく省けます。
記載事項に迷うと作成に時間がかかってしまうため、自社にひな形がない場合は法務局のテンプレートを活用するのが、ミスなく最速で終わらせる秘訣です。
取締役会がない会社(取締役が1名のみの会社など)が、同じ管轄内で移転する場合の必要書類は以下の通りです。
管轄外への移転(他の法務局の管轄エリアへの移転)では、定款に記載されている本店の最小行政区画が変わるため、定款変更の手続き(株主総会の特別決議)が必須となります。
また、現在の法務局(旧管轄)と移転先の法務局(新管轄)の両方に情報を提出する必要があるため、通常の移転登記に加えて以下の書類が追加で必要です。(※書類は複数になりますが、提出窓口は「現在の法務局」にまとめることができます)
※2026年現在の注意点(法改正による変更)
かつて必須だった「個人の印鑑証明書」の添付は、オンライン申請でマイナンバーカードによる電子署名を行う場合に限り、省略(不要に)できるようになりました。ただし、従来の書面(窓口・郵送)で申請する場合は、現在も個人の印鑑証明書の添付が必須です。自社の申請方法に合わせて正しく準備してください。
本店移転登記の手続きを進める上で、「法務局へ支払う費用(登録免許税)」と「法で定められた期限」を正確に把握することは重要です。思わぬ出費やペナルティを防ぐための要点を整理しました。
登記申請の際、国に納める税金(登録免許税)が必要です。金額は移転先によって異なります。
| 移転のパターン | 登録免許税の金額 | 仕組みの解説 |
|---|---|---|
| 管轄内移転 | 3万円 | 現在の法務局だけに申請するため1回分 |
| 管轄外移転 | 6万円 | 旧管轄と新管轄、それぞれの法務局分(3万円×2件) |
※納付方法:基本的には金額分の「収入印紙」を購入し、申請書に貼り付けて提出します。管轄外移転の場合は、3万円分の印紙を貼った申請書を2通(計6万円分)用意することになります。
会社法により、本店を移転した日から「2週間以内」に登記申請をしなければならないと定められています。
【司法書士のアドバイス】「2週間」の期限を過ぎてしまったら?
「引っ越しのドタバタで、2週間の期限を少し過ぎてしまった」という会社様は、実はざらにいらっしゃいます。 数日遅れたからといって即座に高額なペナルティが来るケースは稀であり、あくまで2週間は「原則」です。
議事録や株主リストなどの添付書類を取りまとめる「表紙」であり、メインの書類が「登記申請書」です。申請書には、会社の商号(社名)、現在の住所、新しい住所、移転日、納付する登録免許税の額などを正確に記載します。
法務局の公式ウェブサイトでは、自社のパターン(管轄内・外/取締役会の有無)に応じた無料のテンプレート(Word版・PDF版)が公開されています。■「株式会社本店移転登記申請書(管轄登記所内移転)」

まずは自社のパターンに合うテンプレートをダウンロードし、全体像と記載項目を確認することから始めてみてください。
株式会社の本店移転登記は、管轄が変わるかどうかや取締役会の有無によって必要書類が異なります。管轄内なら3万円、管轄外なら6万円の登録免許税が必要で、移転から2週間以内に登記を申請しなければなりません。専門的な書類の準備や手続きは担当者の負担となるため、必要な手続きの全体像を早めに把握することが大切です。
本店移転の手続きに不安を感じる場合は、さくらリーガルパートナーへご相談ください。当事務所では、会社の状況に応じた必要書類の作成から法務局への申請まで、登記手続きをまとめてサポートしています。申請期限や必要書類についても事前確認のうえスムーズに手続きを進めることができますので、まずはお気軽にご相談ください。
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