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株式会社の本店移転登記に必要な書類一覧!管轄内・外の違いも解説

オフィスの移転が決まった際、実務担当者や経営者を悩ませるのが「本店移転登記」の手続きです。引越しの準備や通常業務で忙しい中、「専門的な書類をミスなく揃えられるだろうか」「スケジュール通りに終わるか不安」と感じる方も多いのではないでしょうか。

本店移転登記の必要書類は、移転先の住所や会社の仕組み(機関設計)によって大きく変わります。

本記事では、自社のケースで必要になる書類一覧や、手続きにかかる費用・期限の全体像を分かりやすく整理しました。「自力で申請できそうか」「司法書士などの専門家に依頼すべきか」を判断する材料として、ぜひお役立てください。

【この記事で分かること】

  • 本店移転登記の必要書類を特定するための「2つの確認事項」
  • 【管轄内・管轄外】それぞれのパターン別・必要書類一覧
  • 登記申請にかかる登録免許税の費用と、厳守すべき「2週間」の期限

本店移転登記の必要書類を揃える前の確認事項

本店移転登記の必要書類は全社共通ではありません。移転先の「場所」と自社の「仕組み(機関設計)」によって変わります。書類を集め始める前に、まずは自社がどのパターンに該当するかを特定しましょう。

「管轄内移転」と「管轄外移転」の違いを理解する

手続きの最大の分岐点は、移転先が現在の法務局の管轄エリア内かどうかです。管轄が変わるかどうかで、必要書類の量と費用が大きく変動します。

  • 管轄内移転
    • 概要:現在の法務局の担当エリア内での移転
      (例:千代田区から中央区への移転など ※どちらも東京法務局本局の管轄)
    • 手続き:現在の法務局へ1通の申請書を提出
  • 管轄外移転
    • 概要:別の法務局の担当エリアへの移転(例:東京都から神奈川県への移転など)
    • 手続き:旧管轄・新管轄の法務局用として申請書を計2通作成し提出(提出窓口は旧管轄)

まずは移転先住所の担当法務局をネットで検索し、どちらに該当するか確認してください。

参考:管轄のご案内|法務局

【よくある勘違い】
移転先の管轄を調べる際、「不動産登記」と「商業登記(法人登記)」で管轄の法務局が異なるケースがよくあります。不動産の手続きをした法務局に会社の書類を出そうとして間違えてしまうトラブルがあるため、必ず「商業・法人登記」の管轄窓口を確認しましょう。

自社の「機関設計(取締役会の有無)」を確認する

会社の仕組み(機関設計)によって、社内決議で作成する議事録の種類が変わります。定款や登記事項証明書を確認し、自社がどちらの体制か把握してください。

会社のパターン 本店移転を決定する機関 必要となる主な書類
取締役会がある会社 取締役会の決議 取締役会議事録
取締役会がない会社 取締役の過半数の合意 取締役の決定書(または互選書)

【司法書士からのアドバイス】
取締役会がない会社でも、定款に「本店を東京都千代田区〇丁目〇番〇号に置く」と番地まで細かく書かれている場合は、定款変更(株主総会議事録)が必要になります。

  • 管轄外移転:定款変更が必須のため見落としにくい
  • 管轄内移転:見落としがちなので要注意
実務上、法務局へ定款そのものを提出するわけではないため却下されることは稀ですが、会社としての「適切な定款管理」のために、管轄内であっても必ず事前によく確認してください。

株式会社の本店移転登記における必要書類の一覧(管轄内)

同一の法務局管轄内で本店移転を行う場合の必要書類を、機関設計のパターン別に解説します。管轄内移転は手続きが比較的シンプルですが、社内決議の形に合わせて正確に書類を揃える必要があります。

パターン①:取締役会設置会社 × 管轄内移転

取締役会がある会社は、原則として以下の書類を用意します。

  • 【全員必須】
    • 登記申請書:手続きのメインとなる申請書です。
    • 取締役会議事録:移転先の具体的な住所や移転日を、取締役会で決めたことを証明します。
  • 【必要な場合のみ】
    • 株主総会議事録:定款に書かれているエリア(例:「当会社は、本店を東京都千代田区に置く」など)を越えて移転する場合に必要です。
    • 株主リスト:上記の株主総会を開催した場合に、セットで提出が義務付けられています。
  • 【司法書士へ依頼する場合のみ必須】
    • 委任状:手続きを司法書士などの代理人に一任したことを証明する書類。

※同じ区内・市内での移転(例:港区から港区)で、定款を変更する必要がない場合は「登記申請書」と「取締役会議事録」の2点だけで完了します。

【司法書士のアドバイス】
「議事録の作成」や「ハンコ集め」を負担に感じるかもしれませんが、以下のポイントを押さえれば手間は大きく省けます。

  • 株主総会議事録
    法律上の押印義務はありません。実務上は、代表者が会社実印を1つ押せば完了します。ご自身で作成される会社様で「役員全員のハンコ」を集めて時間をロスするケースがありますが、その必要はありません。
  • 株主リスト
    こちらも押印は一切不要です。「誰が・何株持っているか」さえ正確に把握していれば簡単に作成できます。

記載事項に迷うと作成に時間がかかってしまうため、自社にひな形がない場合は法務局のテンプレートを活用するのが、ミスなく最速で終わらせる秘訣です。

パターン②:取締役会非設置会社 × 管轄内移転

取締役会がない会社(取締役が1名のみの会社など)が、同じ管轄内で移転する場合の必要書類は以下の通りです。

  • 【全員必須】
    • 登記申請書:法務局へ提出する基本の書類です。
    • <取締役の過半数の一致を証する書面(取締役の決定書):具体的な移転先と移転日を決定した証明書です。
      ※取締役が1名のみの場合は、取締役の決定書を作成し、該当する取締役が決定した旨を記載します。
  • 【必要な場合のみ】
    • 株主総会議事録:定款上の本店所在地の記載(最小行政区画など)を変更する決議を行った場合に必要です。
    • 株主リスト:株主総会を開いた場合に、議事録と合わせて提出します。
  • 【司法書士へ依頼する場合のみ必須】
    • 委任状:手続きを司法書士などの代理人に一任したことを証明する書類。

管轄外の法人本店移転登記で追加となる必要書類

管轄外への移転(他の法務局の管轄エリアへの移転)では、定款に記載されている本店の最小行政区画が変わるため、定款変更の手続き(株主総会の特別決議)が必須となります。

また、現在の法務局(旧管轄)と移転先の法務局(新管轄)の両方に情報を提出する必要があるため、通常の移転登記に加えて以下の書類が追加で必要です。(※書類は複数になりますが、提出窓口は「現在の法務局」にまとめることができます)

  • 株主総会議事録(1通):
    定款変更の決議を行ったことを証明するために必須の書類です。
  • 株主リスト(1通):
    議決権の上位10名、または2/3に達するまでの株主を記載したリストです。株主総会議事録とセットでの提出が義務付けられています。
  • 登記申請書(旧管轄用・新管轄用 各1通):
    「旧管轄用」と「新管轄用」の申請書を1通ずつ作成し、現在の法務局の窓口へまとめて提出します。
  • 印鑑届書(1通):
    管轄が変わると、新しい法務局に会社の代表印(法人実印)を登録し直す必要があるため、新たに提出します。
  • 印鑑カード交付申請書(1通):
    管轄外へ移転すると、現在使っている法人の「印鑑カード」は使用できなくなります。登記完了後に、新しい法務局で新しい印鑑カードを発行してもらうための申請書です。

※2026年現在の注意点(法改正による変更)
かつて必須だった「個人の印鑑証明書」の添付は、オンライン申請でマイナンバーカードによる電子署名を行う場合に限り、省略(不要に)できるようになりました。ただし、従来の書面(窓口・郵送)で申請する場合は、現在も個人の印鑑証明書の添付が必須です。自社の申請方法に合わせて正しく準備してください。

本店移転登記の手続きにかかる費用と申請期限

本店移転登記の手続きを進める上で、「法務局へ支払う費用(登録免許税)」と「法で定められた期限」を正確に把握することは重要です。思わぬ出費やペナルティを防ぐための要点を整理しました。

管轄内・管轄外で異なる「登録免許税」の金額

登記申請の際、国に納める税金(登録免許税)が必要です。金額は移転先によって異なります。

移転のパターン 登録免許税の金額 仕組みの解説
管轄内移転 3万円 現在の法務局だけに申請するため1回分
管轄外移転 6万円 旧管轄と新管轄、それぞれの法務局分(3万円×2件)

※納付方法:基本的には金額分の「収入印紙」を購入し、申請書に貼り付けて提出します。管轄外移転の場合は、3万円分の印紙を貼った申請書を2通(計6万円分)用意することになります。

移転日から2週間以内の期限を厳守する

会社法により、本店を移転した日から「2週間以内」に登記申請をしなければならないと定められています。

  • 起算点に注意:
    実際に新しいオフィスで業務を開始した日(または、取締役会等で決定した移転日)からカウントします。
  • 遅れた場合のペナルティ:
    この期限を過ぎて申請することを「登記懈怠(とうきけたい)」と呼び、代表者個人に対して数万円〜最高100万円の「過料(金銭的なペナルティ)」が科されるリスクがあります。

【司法書士のアドバイス】「2週間」の期限を過ぎてしまったら?
「引っ越しのドタバタで、2週間の期限を少し過ぎてしまった」という会社様は、実はざらにいらっしゃいます。 数日遅れたからといって即座に高額なペナルティが来るケースは稀であり、あくまで2週間は「原則」です。

しかし、数ヶ月など長期間放置してしまうと実際に過料の制裁を受ける可能性が高まるため、「少し過ぎてしまった...」という場合でも決して放置せず、なるべく早く申請(または専門家へ相談)するようにしてください。

本店移転登記申請書の概要とテンプレート

議事録や株主リストなどの添付書類を取りまとめる「表紙」であり、メインの書類が「登記申請書」です。申請書には、会社の商号(社名)、現在の住所、新しい住所、移転日、納付する登録免許税の額などを正確に記載します。

法務局の公式ウェブサイトでは、自社のパターン(管轄内・外/取締役会の有無)に応じた無料のテンプレート(Word版・PDF版)が公開されています。

■「株式会社本店移転登記申請書(管轄登記所内移転)」

出典元:商業・法人登記の申請書様式:法務局

  • 入手先:法務局ウェブサイト「商業・法人登記の申請書様式」
  • 活用法:自社のケースに該当する様式をダウンロードし、記載例(マニュアル)を見ながら作成します。

まずは自社のパターンに合うテンプレートをダウンロードし、全体像と記載項目を確認することから始めてみてください。

まとめ

株式会社の本店移転登記は、管轄が変わるかどうかや取締役会の有無によって必要書類が異なります。管轄内なら3万円、管轄外なら6万円の登録免許税が必要で、移転から2週間以内に登記を申請しなければなりません。専門的な書類の準備や手続きは担当者の負担となるため、必要な手続きの全体像を早めに把握することが大切です。

本店移転の手続きに不安を感じる場合は、さくらリーガルパートナーへご相談ください。当事務所では、会社の状況に応じた必要書類の作成から法務局への申請まで、登記手続きをまとめてサポートしています。申請期限や必要書類についても事前確認のうえスムーズに手続きを進めることができますので、まずはお気軽にご相談ください。

商業登記に関するお悩みはさくらリーガルパートナーまでお問い合わせください。

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