成年後見制度を利用する際、後見人としての権限を証明するために必要となるのが「登記事項証明書」です。
この書類は、銀行での預金管理や不動産の売却、介護施設への入所契約など、さまざまな場面で提出を求められます。
しかし、申請者の立場によって取得方法や必要書類が異なるため、初めて手続きを行う方にとっては分かりにくい部分も多いのではないでしょうか。
本記事では、登記事項証明書の基本的な内容から具体的な取得手順、費用までを詳しく解説していきます。
【この記事で分かること】
成年後見人の登記事項証明書とは、成年後見制度において誰が後見人として選任されているか、どのような権限があるかを証明する公的書類のことです。
認知症や知的障害、精神障害などにより判断能力が十分でないと判断された方は、法律上の重要な決定を単独で行うことが難しい場合があります。
成年後見人は、この登記事項証明書を取得することで、本人に代わり身上監護や預貯金の管理、不動産の売却などさまざまな手続きを行えるようになります。
成年後見人が本人に代わって法的な手続きを行う際、この証明書の提出を求められる場面は非常に多いです。
成年後見人の登記事項証明書が必要となる主な場面としては、以下が挙げられます。
病院への入院手続きや介護施設に入居する際の契約では、本人に代わって署名・捺印を行うために証明書が必要となります。
また、銀行口座から預金を引き出す際や、不動産を売却する際にも、金融機関や不動産会社から登記事項証明書の提出を求められることがほとんどです。
本人に代わり遺産分割協議に参加する場合や、各種行政サービスの申請・届け出を行う際にも、後見人としての権限を示すためにこの証明書が欠かせません
。
下図は、登記事項証明書の見本です。
出典:東京法務局「登記事項証明書【後見】」
登記事項証明書の記載内容は「後見登記等に関する法律」により定められており、主に以下の内容が記載されています。
参考:後見登記等に関する法律 | e-Gov 法令検索(4条1項)
なお、成年後見監督人が選任された場合や、複数人の成年後見人が共同で職務を行う場合など、特別な事情がある場合にはその旨も記載されます。
成年後見人の登記事項証明書を取得する方法は、大きく分けて3つあります。
それぞれの方法にはメリット・デメリットがあるため、自分の状況に合った方法を選択しましょう。
成年後見人の登記事項証明書は、全国の法務局の窓口で申請できます。登記を行った法務局以外でも取得可能なため、最寄りの法務局で手続きすれば問題ありません。
窓口で請求するメリットとしては、申請書の記入方法が分からない場合に職員に教えてもらえること、内容に不備があってもその場で修正できることが挙げられます。
ただし、窓口対応時間は平日の午前8時30分から午後5時15分までとなっており、土日祝日や年末年始は閉庁しているため注意が必要です。
「東京法務局」のみ、郵送による登記事項証明書の申請に対応しています。それ以外の法務局では対応していない点に注意が必要です。
申請書は東京法務局のホームページからダウンロードできます。
登記事項証明申請書とあわせて、本人確認書類や返信用封筒(切手貼付・返送先記入済みのもの)を用意する必要があります。登記事項証明書が届くまでに1週間程度かかることが多いため、余裕をもった手続きを心がけましょう。
急ぎの場合はオンライン申請などほかの方法を検討するのがおすすめです。
【参考】申請書の送付先:
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〒102-8226
東京都千代田区九段南1-1-15 九段第2合同庁舎 4階
東京法務局 後見登録課
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登記事項証明書はオンラインによる請求も可能です。
オンライン申請は全国どこからでも利用できますが、受付や発行の事務は東京法務局民事行政部後見登録課が一括して担当しています。
オンライン請求の場合、「電子的な証明書」または「紙の証明書(郵送)」のいずれかを選択でき、手数料は電子的な証明書の方が若干安く設定されています。
オンライン申請の対応時間は、平日の8時30分から21時までとなっており、早急に証明書が必要な場合や平日の昼間に時間が取れない場合などに便利な方法です。
ただし、初回利用時には申請者情報の登録などを行う必要があります。
成年後見人の登記事項証明書の申請に必要な書類は、「誰が」申請するのかによって異なります。登記事項証明書を申請できる人は以下の通りです。
ここからは、申請者の立場ごとに必要書類を紹介していきます。
成年後見人本人が申請する場合に必要な書類は下記の通りです。
被後見人から見て四親等までの親族は登記事項証明書の取得が可能で、必要な書類は以下の通りです。
成年後見人本人や四親等内の親族以外でも、委任状がある場合は登記事項証明書の取得が可能です。必要な書類は以下の通りです。
委任状の様式に特に決まりはありませんが、詳しい記載方法については東京法務局の公式サイトの記載例をご確認ください。
成年後見に関する証明書には、「登記事項証明書」と「登記されていないことの証明書」の2種類があります。
「登記されていないことの証明書」は、成年後見制度を利用していないことを公的に示すための書類で、資格の取得や営業許可の申請を行う場面で提出を求められるケースがあります。
どちらを取得できるかは登記の有無によって異なりますが、いずれも申請方法によって手数料が変わります。
【手数料一覧】
| 書類 | 申請方法 | 手数料(1通あたり) |
|---|---|---|
| 登記事項証明書 | 窓口・郵送 | 550円 |
| オンライン(電子証明書) | 320円 | |
| オンライン(紙の証明書) | 380円 | |
| 登記されていないことの証明書 | 窓口・郵送 | 300円 |
| オンライン(電子証明書) | 240円 | |
| オンライン(紙の証明書) | 300円 |
窓口や郵送で請求する場合の手数料は、登記事項証明書が1通550円、登記されていないことの証明書が300円となっており、いずれも収入印紙で納付します。収入印紙は法務局の窓口や郵便局で購入可能です。
オンラインでの請求は、電子証明書と紙の証明書で料金が異なり、電子証明書の方が安く設定されています。電子証明書はオンライン上で確認でき、紙の証明書を希望する場合は郵送で受け取ることになります。オンライン申請の場合の手数料の支払いは、インターネットバンキングなどを利用した電子納付が必要です。
成年後見人の登記事項証明書には、法律上の有効期限は設けられていません。
しかし、銀行や病院、介護施設などの提出先によっては、「発行後◯か月以内のもの」といった条件が付けられている場合があります。
そのため、成年後見人としてさまざまな手続きを行う場面では、証明書の発行日がどれくらい前かを確認することが大切です。
まとめて複数枚を取得しておくと、実際に提出する時点で発行から時間が経ちすぎてしまい、改めて取り直しが必要になるケースもあります。必要な場面ごとに、最新の日付の証明書を準備するよう心がけると安心です。
成年後見の登記事項証明書は、後見人の身分や権限を公式に示す大切な書類です。銀行での預金管理や不動産の売却、介護施設への入所契約など、本人に代わってさまざまな手続きを行う際に必ず必要となります。
ただし、請求者の立場によって必要書類や申請方法が異なるため、事前に正確な手順を把握しておかなくてはなりません。特に、委任状の書き方や郵送・オンライン申請の細かなルールなど、初めての方には難しいと感じる点も多いのではないでしょうか。
申請内容に不安がある場合は、成年後見制度に詳しい司法書士へ相談することで、手続きのミスを防ぎ、スムーズに証明書を取得できます。
さくらリーガルパートナーでは、成年後見の申立てから登記事項証明書の取得、各種契約手続きのサポートまで、経験豊富な司法書士が一貫して対応しています。
「書類の準備が不安」「どの手続きを先に進めるべきかわからない」といった方は、ぜひお気軽にご相談ください。
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