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所有不動産記録証明制度とは?施行日や制度の詳細について解説

2026年2月、相続登記の義務化に伴い、新しい制度「所有不動産記録証明制度」が始まります。この制度は、不動産の名義人が全国でどのような不動産を所有しているのかを、一括で調査し証明書としてリスト化できるというものです。

これまで、相続が発生した際、被相続人が所有していた不動産を把握するのは容易ではありませんでした。相続人は、被相続人の不動産を探し出すために多大な労力を費やし、相続登記の手続きに時間がかかるケースが多くありました。所有不動産記録証明制度は、このような問題を解決するために新設されます。

この制度を利用することで、相続人は被相続人名義の不動産を漏れなく把握でき、スムーズに相続登記を行えるようになります。では、所有不動産記録証明制度とはどのような制度なのでしょうか。この記事では、制度の詳細やメリット、注意点などを詳しく解説します。

所有不動産記録証明制度とは?

所有不動産記録証明制度とは、不動産に登記された名義人の住所や氏名から、その名義人が所有している全国の不動産を一括で調査し、リスト化された証明書を受け取れる制度のことです。この制度は、相続登記の義務化に伴い、被相続人名義の不動産を把握しやすくし、相続人の手続きの負担を減らす目的で新設されました。

所有不動産記録証明制度はいつから?

所有不動産記録証明制度は、2026年(令和8年)2月2日に施行されます。ただし、所有不動産記録証明制度は仮称であり、正式名称ではありません。新しい制度で不明な点が多くあるため、制度をうまく活用したい方は司法書士に相談してみることをおすすめします。

所有不動産記録証明制度は誰でも請求できるわけではない

所有不動産記録証明制度を利用して証明書を請求できる人は以下の通りです。

  1. 不動産の名義人本人
  2. 不動産の名義人の相続人
  3. 名義人本人または相続人の代理人(司法書士など)

所有不動産記録証明制度はプライバシーを考慮しているため、誰でも不動産の情報を取得できるものではありません。証明書を請求できるのは不動産の名義人本人か相続人、代理人(司法書士など)のみの限られた人のみとなっています。

所有不動産記録証明制度が始まる理由

所有不動産記録証明制度が始まる理由は大きく分けて2つあります。1つは所有者不明土地問題の解決、もう1つは不動産の調査方法の問題を解決するためです。ここではその2つの理由について詳しく解説します。

所有者不明土地問題

所有不動産記録証明書制度が始まる大きな理由の一つが所有者不明土地が増加していることです。所有者不明土地が増えていくと、土地の管理や利用のために必要な合意が取りにくいため、公共事業や復旧・復興事業が円滑に進まなかったり、土地の管理不足で隣接する土地への悪影響も考えられます。

令和4年の国交省の調査によると、所有不明土地の割合は24%にものぼります。所有者不明土地問題を解決するためには、相続登記を行う必要があり、亡くなった方が所有していた不動産をすべて把握しスムーズに手続きを行うために所有不動産記録証明制度が新しく始まるのです。

不動産の調査方法問題

これまでの不動産調査の方法は3つありましたが、いずれも問題点がありました。

不動産調査の方法 問題点
1.名寄帳(なよせちょう) 自治体ごとに調査する必要があるため労力がかかる(複数の不動産が別々の市区町村にある場合、それぞれの場所で申請しなければならない)
2.固定資産税納税通知書 非課税の不動産(私道など)は記載されないため、把握するのが困難
3.不動産の権利証

被相続人が紛失している可能性や別々の場所に保管されている可能性があるため、すべての権利証を探すのが困難

このようにこれまでの不動産調査の方法では、すべての不動産を把握するのが困難でした。そのため、全国すべての不動産を一括で把握できる所有不動産記録証明制度が始まります。

所有不動産記録証明制度のメリット

所有不動産記録証明制度のメリットとして、以下の3つが挙げられます。

  1. 不動産の登記漏れを防げる
  2. 手続きの負担が減る
  3. 遺言作成時など生前対策にも活用できる

ここではそれぞれのメリットについて詳しく解説します。

不動産の登記漏れを防げる

所有不動産記録証明制度によって、名義人が所有している全国の不動産を一括把握できるため登記漏れを防ぐことができます。

例えば、これまでの不動産の調査方法である名寄帳では、各自治体ごとにしか不動産を確認できないため、名義人がゆかりのない場所に不動産を所有していた場合、その不動産を確認することは困難でした。しかし、所有不動産記録証明制度では、1度の申請で全国各地の所有不動産を把握できるため、漏れなく相続登記を行えます。

相続登記の手続きの負担が減る

所有不動産記録証明制度によって、相続人が行う相続登記の手続きの負担が減ります。これまでは、被相続人が自宅以外にも不動産を所有していた場合、名寄帳や権利証などを用いて不動産調査をする必要がありましたが、自治体ごとに調査しなければならなかったり、権利証を紛失している可能性があるなど、調査に労力がかかっていました。

しかし、所有不動産記録証明制度を活用することで、亡くなった方が所有している不動産の一覧をリスト化して証明できるため、相続登記の手続きの負担を軽減できるのです。

遺言作成時など生前対策にも活用できる

所有不動産記録証明制度は、相続以外にも遺言作成時など生前対策にも活用できます。この制度は名義人の相続人だけでなく、名義人本人も利用できるため、生前にあらかじめ不動産を把握し、遺言書を作成しておくことで、相続が発生したときにスムーズに相続登記を行えます。

また、相続人同士のトラブルも未然に防ぐことができるでしょう。生前から不動産の所有状況を把握し、相続人に伝えておくことで、相続発生時のもめごとを防げるのです。

所有不動産記録証明制度のデメリット・注意点

所有不動産記録証明制度にもデメリット・注意点があります。それは、名義人の住所と氏名が一致していない場合、所有不動産記録証明書の一覧に記載されない可能性があることです。

これは、例えば、名義人が引っ越しをしたのにも関わらず、過去に登記した情報を更新していないケースが考えられます。所有不動産記録証明制度を正しく活用するためには、名義人の住所と氏名が一致している必要があるのです。

登記情報が最新のものではない場合、所有不動産記録証明書に不動産が記載されない可能性があるため注意が必要です。

相続登記で疑問があるなら司法書士に相談を

所有不動産記録証明制度は、2026年(令和8年)2月2日に始まる新しい制度です。この制度は、所有者不明土地問題の解決と不動産調査方法の問題解決を目的として新設されました。

所有不動産記録証明制度を利用すれば、名義人が所有している全国の不動産を一括で把握でき、相続登記の手続きの負担を減らすことができます。また、登記漏れを防げたり、生前対策にも活用できるなど、様々なメリットがあります。

ただし、所有不動産記録証明制度にはデメリット・注意点もあります。名義人の住所と氏名が一致していない場合、所有不動産記録証明書の一覧に記載されない可能性があるのです。

新しい制度のため、不明な点も多いかと思います。相続登記で疑問があるなら、ぜひ司法書士に相談してみてください。

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