相続登記は、不動産を相続した際に必要となる手続きです。2024年4月から義務化され、期限内に行わないと罰則が科せられるようになりました。罰則だけでなく、相続登記を行わないと様々な問題が起こる可能性があります。
本記事では、相続登記の意味や重要性、手順、よくある質問について詳しく解説します。
相続登記とは、土地や建物などの不動産の所有者が亡くなったときに、不動産の名義を相続人に変更する手続きのことです。この手続きを行うことで、相続した不動産の所有者が明確になり、第三者に対して権利を主張できるようになります。
ここでは相続登記の中心となる「不動産相続登記」と、その一部として扱われることのある「遺産相続登記」についてそれぞれ解説します。
不動産相続登記とは、相続登記の中でも不動産に特化した手続きです。相続によって取得した土地や建物の登記名義を、相続人の名前へと変更し、法的な所有権を確定させる役割を担います。
登記簿の内容を更新するには、法務局に必要な書類を提出し、所定の手続きに沿って申請することが求められます。
遺産相続登記は、遺言書の有無で手続きが異なります。
どちらの場合も、最終的に不動産の所有権を適切に移転させる重要な手続きです。
相続登記の主な手順は、以下の通りです。
手順ごとに詳しく解説します。
まずは、被相続人が所有していた不動産をすべて把握することから始めます。固定資産税の納税通知書や登記簿謄本を参照し、土地や建物の所在地、面積、評価額などの詳細を確認しましょう。また、名寄帳を取得することで、被相続人が市区町村内で所有していた不動産を一覧で確認できます。名寄帳は、各市区町村の役所の窓口、または郵送・オンライン申請で取得可能です。この段階で見落としがあると後々問題になるため、丁寧に調査しましょう。
さらに、2026年に「所有不動産記録証明制度」というものが始まります。この制度は、不動産の名義人が全国でどのような不動産を所有しているのかを、一括で調査し証明書としてリスト化できるというものです。 所有不動産記録証明制度について、詳しくは以下の記事をご参照ください。
相続する不動産の現状を詳しく確認します。登記簿謄本で所有者や抵当権の設定状況を確認し、実際に現地を訪問して物件の状態を把握しましょう。建物の老朽化や境界線の問題、近隣トラブルの有無なども調べる必要があります。
これらの情報は、後の遺産分割協議や相続登記の手続きに重要な影響を与えるため、専門家と相談しながら進めるのがおすすめです。
遺言書の有無で相続人の決め方が変わります。
遺言書がある場合は、遺言書にしたがって誰がどの不動産を相続するかを決定します。ない場合は、戸籍収集を行って相続人の調査と確定を行いましょう。相続人全員で遺産分割協議を行い、誰がどの不動産を相続するかを決定します。 相続人は、配偶者・子・親・兄弟姉妹などの相続順位にしたがって権利者を確定します。相続人が多数いる場合や戸籍が複雑な場合は、司法書士などの専門家に依頼することが効率的です。
協議が成立したら、遺産分割協議書を作成し、相続人全員の署名・押印(実印)を行いましょう。この協議書には相続人全員の印鑑証明書を添付する必要があります。協議書の内容は後の登記申請に直接影響するため、正確で漏れのない記載が重要です。協議がまとまらない場合は、家庭裁判所での調停や審判が必要になることもあります。
下記のような必要書類を揃えて、不動産の所在地を管轄する法務局に相続登記の申請を行いましょう。
登録免許税(固定資産評価額の0.4%)を納付し、申請が受理されれば約1〜2週間で登記が完了します。申請書類に不備があると補正が必要になるため、事前に法務局で確認するか専門家に依頼することをおすすめします。
相続登記の必要書類について、詳しくは以下の記事をご参照ください。
相続登記の必要書類を専門家が徹底解説!スムーズな手続きのコツも教えます
相続登記を行うメリットは主に以下の3つです。
相続登記を完了することで、相続した不動産を自由に売却できるようになります。
不動産の売買には所有権移転登記が必要で、登記簿上の所有者でなければ売却手続きを行うことができません。相続登記により名義が相続人に変更されることで、買主に対して確実な所有権の移転を保証できます。また、売却価格の交渉においても、権利関係が明確な物件として信頼性が高まり、より良い条件での取引が期待できるでしょう。
相続登記を行うことで、相続した不動産を担保として金融機関から融資を受けることが可能になります。
銀行や信用金庫などの金融機関は、担保となる不動産の所有者が明確でなければ融資を行いません。相続登記により登記簿上の所有者が相続人に変更されることで、抵当権設定登記が可能となり、不動産担保ローンやリフォームローンなどの各種融資を受けられます。
相続登記を行うことで、不動産の権利関係が明確になり、将来的なトラブルを防止できます。登記簿に正確な所有者情報が記載されることで、第三者に対して所有権を主張できるようになるでしょう。
また、相続人の中で誰が不動産を相続したかが明確になるため、家族間でのトラブルを防ぐことが可能です。さらに、次の世代への相続時にも手続きがスムーズに行えます。
相続登記を行わないと、さまざまな問題が発生します。
2024年4月から相続登記が義務化されたため、不動産を相続したことを知った日から3年以内に手続きを行わないと、10万円以下の過料が科せられる可能性があります。また、相続登記をしないまま時間が経過すると、新たな相続が発生した際に権利関係が複雑化し、相続人の数が増えて手続きが困難になります。さらに、相続登記を完了していない不動産は売却することができず、担保として融資を受けることもできません。
これらの問題は、相続人にとって大きな経済的・法的リスクとなるため、速やかな相続登記が重要です。
相続登記をしないことで発生する具体的なリスクについては、別記事で詳しく解説していますので、ぜひご参照ください。
【事例付き】相続登記をしないとどうなる?知っておくべき7つのリスクをわかりやすく解説
相続登記についてのよくある質問を以下にまとめました。相続登記の義務化や発生する費用などを解説するので、参考にしてください。
相続登記の義務化が2024年4月1日から開始されました。この制度により、不動産を相続したことを知った日から3年以内に相続登記を行う必要があります。
期限内に相続登記を行わないと過料を払う必要があるため、不動産を相続した際には速やかに相続登記の手続きを行った方が良いでしょう。 相続登記義務化の詳細については、以下の記事で詳しく解説しています。
相続登記は、司法書士などの専門家に依頼せずに、自分で行うことも可能です。自分で手続きを行うことで、司法書士に支払う報酬を大幅に削減できます。ただし、必要な書類を集めたり作成したりするのに時間や労力がかかるのが難点です。
できるだけ早く登記を終わらせたい、不動産の権利関係が複雑で大変、時間や労力をかけたくないという場合には司法書士に依頼した方が良いでしょう。
相続登記にかかる費用は主に以下の3つです。
相続登記にかかる費用の詳細については、以下の料金表を参考にしてください。
相続関係書類作成費用表はこちら
相続登記とは、土地や建物などの不動産の所有者が亡くなったときに、不動産の名義を相続人に変更する手続きのことです。相続登記を行わないと、相続の権利が複雑になるほか、不動産の売却ができず、不動産を担保として融資を受けれないなどのデメリットが生じます。また、2024年4月から期限内の相続登記が義務化されました。
相続登記を行うには、まず遺言・遺産分割協議で不動産を相続する人を決め、戸籍謄本や住民票、登記申請書などの必要書類を収集・作成します。そして必要書類を法務局へ提出し、登録免許税を納付しましょう。
相続登記が義務化されたことも踏まえると、トラブルを防ぐ意味でも、速やかな申請が重要です。相続登記は相続する本人だけでも行えますが、かかる時間や労力を考えると、司法書士などの専門家に依頼・相談するのが良いでしょう。
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