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2019.12.25

国際業務研修(相続)

第2回 国際業務研修

国際相続について事務所内研修を行いました。

研修の内容は以下のとおりです。

  

  

◎相続の準拠法

被相続人が外国人である場合には日本の国際私法といわれている「法の適法に関する通則法」36条で「相続は、被相続人の本国法による。」旨規定している。

 

【相続統一主義】

相続財産の種類や所在地によって準拠法を区別することなく、被相続人に係る固有の法を適用して相続手続きを行う考え方。(日本、ドイツ、イタリア、韓国など)本国法主義と住所地法主義に分けることが出来る。

【相続分割主義】

準拠法を定めるにあたって、不動産と動産とで適用する準拠法を区別する考え方。不動産については不動産の所在地法を、動産については被相続人の本国法または住所地法を適用する。(アメリカ、イギリス、フランス、ベルギー、中国など)

【包括承継主義】

被相続人の死亡により、相続財産は積極財産であると消極財産であるとを問わず相続人に帰属するというもので、日本、台湾、韓国やヨーロッパ大陸諸国で採られている。

 【管理清算主義】

被相続人の遺産は直接相続人に帰属せず、遺言又は裁判所において専任された遺産執行人または遺産管理人にいったん帰属し、遺産執行者は、遺産管理人が負債等を管理清算した後、なお、積極財産がある場合のみそれを相続人、受遺者等に帰属させるというもので、英米法系諸国で採用されている。この清算手続きをプロベートといい、一種の裁判手続きとして行われる。これらの国では相続による債務の承継という概念はないことになる。

 

※日本人がアメリカで預貯金を残して日本で亡くなるケース

被相続人は日本人であるから、日本での手続きとしても、アメリカの手続きとしても、相続の準拠法は日本法になるので、アメリカの銀行に遺産分割協議書を添付して協議内容に従って預貯金の払渡しをしてほしい旨要求できるはずであるが、アメリカの銀行はプロベートコートの決定がなければ引渡せない旨回答することになる。つまり、遺産の管理清算の手続きについては、遺産がある地の手続法によって清算されることになるので、結局、現地の法律実務家に依頼してプロベートコートの手続きをすることになるので注意を要することになる。(引用:渉外不動産登記の法律と実務 山北英仁著)

◎通則法36条の適用範囲

【「相続」に含まれるもの】

相続人、相続分、相続の開始原因、相続順位および代襲相続、遺贈、遺留分、相続財産の範囲等

【先決問題】(「相続」の問題ではない、その前提となる法律問題であると解釈されている問題のこと)

配偶者の前提としての婚姻の有効性、養子の前提としての養子縁組の有効性、認知の有効性

※婚姻の有効性は通則法24条が適用される

 

◎反致

【反致】

通則法41条

渉外事件において、法廷地の国際私法によって指定された準拠法国の国際私法が法廷地または第三国の法を準拠法をして指定している場合には、法廷地または第三国の法を準拠法とすること。

【反致主義】

複数の国際私法が異なる準拠法を指定する結果、準拠法を一意的に決定できない場合に、自国の国際私法だけでなく他国の国際私法をも考慮して調和を図る立場のこと。

【反致否認主義】

反致において、他国の国際私法は考慮しない立場こと

※被相続人がアメリカ国籍で、相続財産に日本の不動産がある

通則法36条より、アメリカの法律で処理することになる。

アメリカの法律では、不動産の相続について不動産の所在地の法律によるとされている。

よって結局は日本の法律が準拠法となり、相続人全員で遺産分割協議を行い具体的な分割方法を決めることになる。


 

◎プロベート

裁判所の関与のもとで行う一連の相続手続きのこと。具体的には遺言の有効性の確認や相続人の確定、債務整理、名義変更、相続に係る税金の支払い、残った財産の分配等。

【主な採用国】

アメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、香港、シンガポール、マレーシア等

 

プロベート対策

 【財産共有名義化】

財産を複数の人で持ち合っている場合には相続開始後、プロベートせずに共有者へ財産を承継させることが出来る。海外では共有名義の預金口座を開設できる場合が多い。※贈与税がかかる可能性あり

【受取人指定】

金融資産の場合、相続が開始したときの受取人を金融機関にあらかじめ届けておくことで、プロベートを回避することが可能な場合がある

【生前信託(リビング・トラスト)】

【遺言書作成】

あらかじめ遺言を作成しておいてもプロベートを回避することはできないが、プロベートをスムーズに行うことが可能となる。

◎遺言の準拠法

【遺言の成立および効力】

通則法37条1項

遺言の成立とは遺言能力、意思表示の瑕疵等を意味し、遺言の効力とは遺言の効力発生時期を意味する。相続については被相続人の死亡当時の本国法によるが、遺言については遺言成立時の本国法によるから、遺言書を作成した後国籍の変更が行われたときは、相続の準拠法と遺言の準拠法が異なることになる。

 

【遺言の方式】

「遺言の方式の準拠法に関する法律」が適用される。

第二条 遺言は、その方式が次に掲げる法のいずれかに適合するときは、方式に関し有効とする。

一 行為地法

二 遺言者が遺言の成立又は死亡の当時国籍を有した国の法

三 遺言者が遺言の成立又は死亡の当時住所を有した地の法

四 遺言者が遺言の成立又は死亡の当時常居所を有した地の法

五 不動産に関する遺言について、その不動産の所在地法

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